映像ノウハウ

【高感度マイク】狙った音を確実に集音するガンマイクとは?

映画やドラマ、記者会見などのシーンでよく目にする細長~いマイク

みなさんも一度は目にした事があるでしょう

これ、映像業界ではガンマイクと呼ばれているもので

狙ったピンポイントの音のみを鮮明に集音するマイクなんです

狙った音だけを収録できるなんて不思議だと思いませんか?

ここではこのマイクの仕組みと各種カメラに適したガンマイクを紹介します

仕組みを知れば、自分に合った製品選びにも役立ちますのでしっかり覚えておきましょう

 




 

音が伝わる原理

ガンマイクの仕組みを説明する前に、音についてお話しましょう

普段、なにげなく聞いている音

みなさんは音がどうして聞こえるのか考えた事がありますか?

音は水面に落ちたしずくのように、

空気を振動させて波紋状に周囲へ広がっていきます

この振動が耳の中にある鼓膜を揺らし、

刺激される事で音が音として認識されるんです

子供の頃、理科の実験で糸電話ってありましたよね?

あれも振動を利用しています

紙コップの底が音で振動し、それが糸に伝わって反対側のコップを振動させる

音は振動する媒体があってはじめて伝わっていくんです

空気はその媒体としてもっとも自然なもので

コミュニケーションになくてはならない存在ともいえます

 

マイクの仕組み

この振動する原理をそのまま利用したのがマイクで

マイクの内部には鼓膜と同じ働きをする振動版が内蔵されています

ここでキャッチした音を音声信号に変えるのがマイクの役割なんです

マイクにもいろんな種類があって、

楽器のような幅広い音域をカバーするものから

人間の声に特化した音域のみをキャッチするものまで

用途によって多様な製品が作られています

 

マイクの指向性

マイクには指向性というものがあります

指向性とは、マイクが向いている方向に対し

どの角度の音までをカバーするかを表すもので

無指向性から単一指向性、超指向性があります

無指向性はマイクの振動板の面に対し、ほぼ180度の音をキャッチするもの

単一指向性は振動版に対し、90度から60度の角度から入ってくる音をキャッチし

超指向性はもっと侠角で、20度~30度の角度の音をキャッチするよう

設計されています

ガンマイクはこの超指向性に分類されます

 

ガンマイク、その名の由来

超指向性のマイクは狙った音のみを収録する事と、

ピストルの銃身のような形状から別名「ガンマイク」と呼ばれます

そのもっとも代表的なガンマイクがこちら

みなさんがテレビでたまに目にする細長いマイクもこれです

ドイツのゼンハイザー社から発売されているもので

初期タイプからすでに40年余りの長きにわたって

世界じゅうのプロから愛されてきました

価格は当初1本40万円と超高価な代物でしたが、

現在では低電圧タイプのバージョンが発売され

12~3万から出回るようになりました

ガンマイクは他社からも様々な製品が出ていますが

撮影業界でのシェアはほぼ100%!

ここまで評価されているのにはワケがあり

耐久性や音質、集音性能、全てにおいて群を抜いた性能を誇っている製品なんです

形を見るととても細長く作られていますよね

では、ガンマイクがなぜ遠くの音を鮮明にキャッチできるのか

ヒントはこの形にあります

 

ガンマイクの仕組み

実は、この筒状になった内部は中身が空っぽな構造になっています

空っぽって聞くと驚くでしょうけど

この空洞になっている構造こそが遠くの音のみを拾うための

大切な要素なんです

音は冒頭の説明で空気によって波紋状に伝わってくると説明しました

マイクの向いた方向に一人の人間が立っていて何かを話していたとします

その人間の声だけを録りたいんだけど、その周囲に様々な雑音があった場合

通常のマイクだったらそれら全てをキャッチしてしまいますよね

周囲の雑音はマイクの向きに対し、斜め方向から入ってきます

ガンマイクの細長い構造はこの斜めからの音を打ち消すためのものなんです

本体の横には細かいスリットが胴体に沿うように入っているんですが

これが雑音を消すために必要な構造になっています

斜め方向からマイクに入ってきた音はこの筒の中で反射して減衰していきます

スリットは反射した音を逃がす(抜けさせる)ためにあるってワケです

これに対し、真っすぐ正面から入ってきた音はどこにも反射しないので

そのまま最深部にある振動板へと届きます

これが特定の音だけをキャッチする原理です

斜め方向の音は筒の中で振動版に届かないように逃がしてやり

真っすぐな音のみをキャッチする

考えたらきわめて原始的な構造ですが、

よく考えたものだと思いませんか?

 

ガンマイク選びのポイント

特定の方向からの音のみを狙って録りたい

そんなニーズから生まれたガンマイクですが

今では一眼用からハンディカメラ用のものも多数出回るようになってきました

ここまでお読みになった方なら、もうおよそのポイントはつかんだハズです

もしもガンマイクを検討されるなら、この2点だけは覚えておきましょう

ガンマイクを選ぶポイント

①ボディユニットが長く作られている事

→斜め方向からの音を内部で反射させて減衰させる

よけいな音を逃がすためには長いものほどその効果が発揮されます

②筒の中で音を逃がすためのスリットが適度に作られている事

→スリットの幅が広すぎると横方向からの風の影響を受けやすくなるので、

幅が細く風よけ用のネットがしっかり施工されているものがオススメです

 

おススメするモデル

言うまでもなく、本来オススメしたいのは

ゼンハイザー社のMKH-416です

テレビ業界でのシェアもダントツのナンバーワンですから

集音性能も音質も折り紙付き!

が、プロ用であまりにも高価なのと、ブームなど専用のアクセサリーも必要になってくるので

一般ユーザー向けでオススメできる製品を2点紹介しましょう

まずはこちら、小型ハンディタイプのカメラにマッチするガンマイクです

アメリカの音響メーカーでも老舗中の老舗

SHURE社が一般ユーザー向けに開発した製品VP-83

マウントするカメラシューがあれば簡単に装着できるのが特徴で

ミニプラグのマイク入力ジャックがあれば機種を問わずに使えます

テレビ業界でも記者たちが使うビデオカメラに広く愛用されているもので

小型ながら実力はお墨付きです

ガンマイクは感度が高いのが特徴なんですが

その反面、手元から伝わる振動音も拾ってしまうという欠点があります

このモデルは本体が4つの支点で浮いた構造になっているのがポイントで

これにより余分な振動音を抑えるように作られています

もしお使いのカメラにカメラシューがついていなかったら

ミニ三脚などでも代用できますよ


 



次は一眼&ミラーレス用

RODE社から発売されている002900

こちらは特殊な浮遊構造のホルダーがあり、

カメラからの振動音に影響されない工夫がなされており

このモデルもミニプラグジャックがあれば使えます


 

ガンマイク まとめ

音声は目に見えないので、動画を制作している人でも

あまり気にせずカメラ内蔵マイクだけで収録している傾向がありますが

音声は動画に欠かせない重要な要素!

音が不鮮明だとせっかくの動画も成立しません

これを機に、音声=マイクにもこだわりを持って制作する事をオススメします!

 



 

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