ロケ体験

お宝で稼ぐ男たち アメリカンビッグビジネス

過去、遠い昔に捨てられたモノ

当時は不要とばかりに置き去りにされたモノ

そんなモノを探しあててビジネスにしている男たちの物語

今回の海外ロケエピソードはアメリカ西部

エクスプローラーと呼ばれる男たちのドキュメンタリーロケをした時のお話です

後半では高値で取り引きされるヴィンテージジーンズや

アメリカ最大の巨大フリマも紹介します

 




 

ゴールドラッシュに沸いた街

1799年、アメリカノースカロライナ州から始まったゴールドラッシュ

大金鉱がアメリカ西部の各地で次々に発見され、

多くの人々が金=ゴールドを掘り当てようとその地に集結しました

カリフォルニアでも1848年に発見され、

約30万人もの人たちが金の採掘のために集結したんです

 

植物すらも満足に育たない荒くれた西部の山あいに、

突如として一攫千金を目指す男たちが集まり、活況に沸く街があちこちにできていきます

かつて、こうやって作られた街のひとつRandsburg=ランズバーグ

我々はこの地を目指しROUTE14をひたすら東へと向かいました

 

ランズバーグは当時の面影を今でも色濃く残している地なんだそう

いったいどんなところなんでしょうね

 

LAを早朝に出発してランチをはさんだ2時間後・・

ようやくランズバーグの看板が見えてきました

はてさて、いったいこの街はどんなところなんでしょう・・??

 

ランズバーグのメインストリートに入った途端

それまでの雰囲気とは明らかに違う光景が飛び込んできました

どうですか?このナチュラルに古ぼけたたたずまい!

ここがもし舗装されていなかったらまるで西部劇の世界

馬車が走っていてもまったく違和感ないですよね(笑)

このメインストリート

約500メートルに渡っていろんなショップが並んでるんだけど

すべて普通に営業してるものばかり

観光を意識してる部分があるにしても

ここまで徹底してたらのめりこんじゃいます

レストランやパブ、郵便局などもご覧の通りで

名物のアンティークショップも5件ほどありました

 

どの建物もこんだけ雰囲気出してると全部覗いてみたくなっちゃいますよね

さっそく中を覗いてみたらこれまた雰囲気満点な品の数々・・

中にはそれ風に作られたものもありましたけど

間違いなくひと世代前の遺物だって分かるものもたくさん並べられていました

 

撮影は当然本編用のテレビカメラでしていたので、

スナップした画像はこんなブレたものしか残していませんでしたが

当時の生活に使っていたもの、

不要になって捨てられていたものがところ狭しと並べられています

コーヒーの缶、花瓶、燭台やランプ、食器・・

好きな人にはかなりなお値打ち品になるんじゃないかな・・

コーディネーターのKさんも今はなきアメリカの陶器メーカー

ファイヤーキングというブランドのヴィンテージマグカップを見つけ

さっそく購入していました

お値段は1個3ドルほどでしたが、これをロスで売ったら10倍になるんだそう

バイヤーさんたちにとってもお宝の山になりそうですね

 

これはランチで立ち寄ったレストランのスナップなんですが

当時のバーの様子を描写した絵が飾られていてその盛況ぶりが伝わってきます

 

こちらは雨ざらしの屋外に並べられていた品々・・

いつ頃のものかは不明ですが、茶色や緑色のガラスのようなものは

昔の電柱に使われていた絶縁用のガイシだそうで、

わざわざこんなのリメイクするとこもないでしょうから価値はアリアリです

ちなみにこのガイシ、原宿あたりでも大人気になっていて

文鎮代わりににしたりオブジェとして高額で取り引きされています

 

当時、ご婦人方が使っていた化粧品の瓶なんかも無造作に並べられていますが

これも日本じゃ高値で売られているものです

よく見ると個性的な形のものもありますよね

これ一個が日本だと2千円以上になるそうなんですが、

ここで買ったらたったの1ドルくらい

僕もいくつか買おうと思いましたが、個体の1個1個が重くて

帰りの飛行機で重量オーバーになりそうだったのでやめときました

あ~、でもやっぱり買っときゃよかったかなぁ~

今になって考えたらすごいモッタイナイ事しちゃったと激しく後悔・・

 

 

エクスプローラーという職業

こういったお宝の中には衣類なんかもあったりします

特に多いのが当時ワークウェアと呼ばれたジーンズ

これらは金を掘ったほら穴の中、

つまり廃坑になった地下から発見されるんですが

ボロボロになったジーンズなんてかつては誰も見向きもしませんでした

真っ暗で不気味でいつ崩壊するか分からない

そんな危険な廃坑に入ろうなんて考える人もいなかったんです

垂直に掘られた廃坑の入り口

 

ところがある日、気まぐれにそのほら穴の中に入った男が

かなり保存状態のいいワークウェア=ジーンズを発見!

その後、ダメ元でオークションにかけられました

これを落札したのがサンフランシスコに本社のあるリーバイス社

その額、なんと約1千万円!!

ジーンズはリーバイス製ではなかったんだけど

ワークウェアの歴史として非常に価値があるモノと評価されました

これを機にエクスプローラーという廃坑ハンターが登場しお宝探しが始まります

昔は金、今はワークウェア、2回もラッシュがあったなんて面白いですよね

 

その昔に金が出てきた山々はこんな感じ・・

とてもお宝が眠ってるなんて思えません

廃坑の入り口は縦に掘られたものや横に掘られたもの

地形によって様々でした

彼らはこの真っ暗な穴の中に懐中電灯一本で入り込んでいたんです

 

僕の隣でポーズしてるのはロッキーさん

今やお宝はほぼ取り尽くされてしまい

廃坑に入る機会も減ってしまったようですが

いまだ現役のエクスプローラーの一人です

かつては彼も1,000ドルを超えるワークウェアを何点も見つけた経歴の持ち主

自宅の横にはあちこちから見つけてきたモノでいっぱい!

その中にあった錆びて腐ってしまったこちらの茶色の物体

いったいなんだと思います?

言われなきゃ何だったのか想像もつかないけど、

なんと、リボルバー式のホンモノの拳銃だったらしいです

 

当時の採掘者たちが履いていたブーツなんかもありました

これは今のところ需要はないみたいだけど

何かがきっかけになって売れるかもしれないとロッキーは言います

 

そして、それを証明するかのように僕が食いついたのがコチラ

ロッキーコレクションの中で気になっていた100年以上前のクラシックカメラです

蛇腹式のものが多いですが、使わない時は折りたたんで

コンパクトになるところが面白い

今となってはおそらく使い物にはならないでしょうけど

当時の雰囲気はバッチリあり、いじってるだけで当時を想像してしまいました

アンティークな置き物としても絵になりますよね

このうち3台は廃坑から拾ってきたものだそうで、

僕にとってはそこに価値がありました

メジャーなメーカーのものもあり、無名なブランドのものもあり・・

ちなみにお値段はロッキーと交渉した結果、75ドルでディールしました

 

一方、ディレクターM氏はランプのセードをガラクタ山から発見!

これもポンコツに見えるけど都内のショップで2万ほどの値がつけられているんだそう

 

さて、肝心の廃坑はどうなっているのか・・

テレビは映像が命、もはや何も残っていないと分かっていても

いったいどんな風になってるのか見たくなるのがカメラマン

おそるおそるロッキーに案内され入ってみました

安全上、最低限のものしか携行できなかったため

テレビ撮影の機材が優先になり、残念ながら中の様子は

スナップできずで内部の写真はないんですが

中は予想外に広く掘られていて驚きました

 

これは下見した時のスナップ

 

入口は狭かったにも関わらず、中に入ると人が立って歩けるくらいの高さがあり

二股に分かれているところや急激に上へと掘られているところもあり

掘り進めるのも当時はさぞや重労働だったようです

しかし、ここで疑問が湧きました

なぜジーンズが廃坑の中から発見されるのか?

理由は、「ワークウェア」と呼ばれていた事にヒントがあります

当時、ジーンズはワークウェアと呼ばれており

作業着として使い捨てる人もいたそうなんです

中にはそのワークウェアの端っこを引きちぎり、

地面に突き刺したスコップに巻き付けて

自分のテリトリーを主張するための目印に使う人もいたんだと

ロッキーが話してくれました

 

流通するビンテージもののワークウェア

こうして古いワークウェアが注目されるようになると、

当然現地やオークションで買い付けするバイヤー達も現れます

我々が次に向かったのはシアトルでビンテージものを扱っているこちらのお店

 

店内にはボロボロになり汚れがまんま付いたものもあります

いったいこれってどんな人が買っていくのか???

おそらく僕がクラシックカメラに惹き寄せられたように

身に着けるものとしてではなく

所有することに魅力を感じる人がいるんでしょうね

 

こちらのシャツは最近発見され買い取ったものだそうで

相当な年代物らしく、かなりの値が付いていました

スナップでなにげに撮ったので陽が当たってる部分が飛んじゃってますがご勘弁を・・

モノは相当な貴重品だそうです

 

こちらはかなり昔に閉店し

そのまま放置されていた衣料品店の倉庫の中から発見されたもの

保存状態がよく、ほぼ新品でした

 

通なバイヤーさんたちなら知っている人もいるかもしれません

この気球マークのついたリーバイスはかなりのお値打ち品らしいです

 

値札まで当時のままのジーンズもありました

これなら実際履けるし人気もありそうですよね

 

巨大フリーマーケット

過去の遺物がお宝に変わるドキュメンタリー

最後の撮影で向かったのはサンフランシスコ州パサデナにあるローズボウルスタジアム

このスタジアムにある広大な駐車場が

月に1回、巨大なフリーマーケットに変わるんです

アメリカでも有数の巨大フリマとして知られており

店の数も2000店を越えます

この巨大フリマは日本のバイヤーさんたちの間でもかなり有名らしく

いち早くいいものを買い付けるために、頭にヘッドランプをつけて

夜明け前からでっかいトランクを転がしながら物色している姿もありました

売られているものはユーズドの衣類や家具、雑貨、楽器、食器など様々

そんな中にビンテージなお宝も存在するんですが、

それこそ個々の価値観のあるなしが駆け引きになります

 

発見された現地ではたいして価値のないものでも

まったく別の市場で需要があるものだったらお宝になります

ここではかなり安く仕入れて高く売る事ができますが

買い付けは当然英語が必須になります

駆け引きのための語学力も必要になるでしょう

僕は今までどこに行っても常にコーディネーターの通訳をアテにしてきましたが

これを見て本気で英語を覚えようか考えてしまいました

今、こうやって書いている瞬間にも世界のどこかで

高価なビンテージものが発見されているかもしれませんよね

語学はともあれ、観光としてここを訪れるのもオススメ!

物色しているだけでもお宝探ししているような気分になれて

いつの間にかハンター気分になっちゃう世界

珍しいものとか欲しいものがあったらテンション爆上がり!

なんたってめっちゃ安く買えるんですから!

行ってみたら絶対ハマる事間違いなし!

僕もここでたどたどしい語学力で交渉の末

新品同様のコロンビアジャケットを千円でゲットしました

こっちで買ったら3万以上するものです

モノの価値観は人それぞれ・・

衣類なんかはサイズが合わなかったら価値はゼロ

けれど自分にフィットしたらそれは価値のあるものに変わります

自分には不要と思うものでも

人によってはそれがとんでもなく魅力的な商品になったりするんですよね

このあたりが面白い世界です

みなさんもよかったらローズボウルを訪ねてみて下さい

あ、ランズバーグもオススメですよ☆

 



 

 

 

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